こんな疑問に答えます。
「家族で海外移住」という選択は、もはや特別なことではなくなりました。
一昔前では、エリート商社マンとその家族だけが「海外駐在」という形で海外暮らしをするものだと思われていましたが、時代は変わりつつあります。
リモートワークが普及し、国によっては「リモートワークビザ制度」などを発給している国さえあります。
こういったビザは、リモートで仕事のできるサラリーマンや、パソコン1台で仕事のできるフリーランスの人たちが利用できます。
このように、誰もが国境を超えて仕事や生活ができるようになった今、海外移住を夢見ている人にとっては大チャンスです。
一方で、「海外移住」というと、人生が大きく左右されるほどの一大イベントでもあります。
単身ならまだしも、家族連れで移住となると大きな責任と不安を感じるのも無理はありません。
ただ、少しでも「海外で暮らしてみたい」という気持ちがあるなら、思い切ってチャレンジすべきです。
「世界を知ること」は、子どもにとっても人生を豊かにしてくれる素晴らしい経験となるでしょう。
家族で移住するなら移住先は「治安」、「教育」、「仕事」、「ビザの取りやすさ」などでバランスの取れている「オランダ」をおすすめします。
「世界一子どもが幸福な国」と言われているオランダには、どんな魅力があるのでしょう?
この記事では、そんな家族で海外移住したい人向けに【「世界一子どもが幸福な国」オランダでの子連れ移住】の疑問を詳しく解説していきます。
記事を参考にしつつ、興味があったら是非一度現地に足を運んでみて下さい。
海外移住を実現するには、「ほんの少しの勇気」と「行動」が必要です!
・子連れでも住みやすい国「オランダ」ってどんな国?【ビザの取得方法も解説】
・「世界一子どもが幸福な国」オランダで教育移住を考える
・オランダと日本の教育システムの違い【実際に移住したあとの流れも解説】
子連れで住みやすい国「オランダ」ってどんな国?【ビザの取得方法も解説】
オランダ移住を語る前に、「オランダ」はどんな国なのか触れていきたいと思います。
首都:アムステルダム
面積:41,540 km²(九州ほど)
人口:1744万人
通貨:ユーロ
言語:オランダ語(英語は十分通じる)
宗教:キリスト教(カトリック24.4%,プロテスタント15.8%),イスラム教(4.9%),ヒンズー教(0.6%),仏教(0.5%),無宗教・その他(53.8%)
民族:ゲルマン系オランダ人(76%),トルコ系(2%),スリナム系(2%),アンティル・アルバ系(1%),その他(15%)
オランダはヨーロッパの北に位置しており、隣国はドイツとベルギーです。
北にある割には気候もさほど厳しくなく、温暖で住みやすい国と言われています。
また、オランダの公用語は「オランダ語」となっていますが、英語も十分通じます。(EF EPIという英語を母語としない国の英語力ランキングで、オランダはなんと1位です!)
では、英語が通じれば現地の言葉は一切学ばなくてもいいのか、というとそうではありません。
海外で暮らしてその国の言葉を学ぶことは、その国に対しての礼儀でもあり、現地の人と深く関わる上で非常に重要です。
「郷に入れば、郷に従え」のことわざ通り、その国の言葉や文化、マナーは積極的に学ぶ姿勢を持ちましょう!
そして、オランダが子連れ移住に向いていると言われるのは「治安の良さ」、「ビザの取りやすさ」、「教育システムが充実している」ためです。
子どもを連れて海外に暮らす上で一番の気がかりが「治安」ではないでしょうか?
オランダはヨーロッパの中でも治安がかなり良く、「世界の都市安全性指数ランキング(Safe Cities Index)」では、東京に次いでアムステルダムが第6位にランクインしています。
最低限の警戒はどこに住むにも持たなければなりませんが、オランダでは安全に家族と暮らすのに適していると言えるでしょう。
続いて、「ビザの取得しやすさ」は海外移住を実現させるためには非常に重要なポイントです。
「オランダのビザが取りやすいこと」は、意外と知られていないかもしれません。
なかでも「起業家ビザ」の取得は、1912年に日蘭条約を結んだことにより、日本人に優遇措置があるため取得ハードルが低いと言われています。
「起業家ビザ」と聞くと、かなり難しい条件をクリアしなければいけないと思いがちですよね。
実際には、以下の条件がクリアできれば取得可能です。
・日本国籍であること
・犯罪歴や不法滞在歴がないこと
・オランダでの住居を確保し、住民登録すること
・オランダで事業の登録をし(フリーランスも含む)、最低4,500ユーロ(約55万円)の投資をすること(事業名義の銀行口座に預金する)
と、驚くのも無理はありません。
こんなにも簡単(?)にオランダへ移住できるなら、個人事業主やフリーランスへ転身して移住の切符を手にしたいものです…!
以下に「起業ビザ」を取得する場合の職業参考例をいくつか例をあげておくので参考にして下さい。
・IT系フリーランス
・コンサルタント
・飲食業
・職人
・アーティスト
・ミュージシャン
・美容関係(美容師、ネイリスト、マッサージ士など)
・メンタルヘルス系(整体師、指圧師、鍼灸など)
また、「起業家ビザ」を取得すれば、その家族(配偶者またはパートナー、未成年の子)も一緒にオランダで暮らすことが可能です。
更に、2020年に政策が改善され、配偶者(パートナー)は労働許可不問でオランダで働く権利も与えられました!
そのため、起業家の収入のみに頼ることなく、配偶者の収入も増やすことができるのです。
世帯として家計が安定するのは大きなメリットですよね。
最後に、オランダ子連れ移住で重要視される項目が「教育」です。
オランダは「世界一子どもが幸福な国」と言われていますが、それは「オランダの教育システム」にヒントがあるようです。
続いては、「オランダの教育システム」に触れながら教育移住について解説していきます。
「世界一子どもが幸福な国」オランダで教育移住を考える
オランダと言えば、子どもの幸福リポート(ユニセフ実施)で1位に輝いた「世界一子どもが幸せな国」です。
最近の日本では、「いじめ」、「不登校」、「引きこもり」などが大きな社会問題になっていますよね。
子を持つ親なら誰もが、自分の子どもが幸せになれる環境を提供してあげたいと願うはずです。
そうなると、日本以外の国で暮らすのも1つの方法ではないでしょうか?
オランダの子どもたちが幸せと言われる秘密は、「教育」にあると言われています。
オランダの学校では、学校ごとによって「イエナプラン教育」、「ダルトン教育」、「シュタイナー教育」、「モンテッソーリ教育」などの様々な手法が取り入れられています。
沢山の教育プランがありますが、今回注目するのは「個性を尊重するイエナプラン教育」です。
・ドイツのイエナ大学の教育学教授だったペーター・ペーターセン(1884~1952)が同大学の実験校で取り組んでいた教育
・イエナプラン教育理念は20の原則から成り立っている
(参考:http://study.japanjenaplan.org/?cid=2)
・異年齢の子どもで構成されるグループで学ぶ(異年齢によって子ども同士の学び合いが生まれる)
・決まった時間割はなく「会話」、「遊び」、「仕事(学習)」、「催し」の4つを循環させながら学ぶスタイル
・教師からの一方的な学びではなく、自らの疑問から出発し、学んだことは仲間とシェアしながら総合的に学んでいく
イエナプランと日本の教育の違いは歴然です。
教師から一方的に教わる「受け身」の学びより、自らの問いを出発点とした「自発的な学び」に重点を置いていますよね。
また、クラス内で同じ年齢の仲間と学ぶのではなく、異年齢で教えあうことにより、お互いの違いを受け入れて相手への尊敬が生まれるようになるのです。
そして、オランダでは子ども1人ひとりの能力や希望によって自分の時間割を決めることができます。
自分の興味や能力に応じて深めたい分野を追求できるのは、子どもたちにとって学びを「楽しい」を思える理由なのでしょう。(私もイエナ教育を受けたかった…!)
また、オランダでは留年制度もありますが決してマイナスな事ではありません。
分からない内容や、克服したい教科にじっくり時間をかけて理解してから進級したほうが良いという考えなのです。
このように個人の能力に応じて、進級するかもう1年学び直すかを自分で選べるのもいいですよね。
教育熱心なオランダでは、このイエナプランのような新しい教育をどんどん取り入れています。
また、オランダでは「学校が100あれば100通りの教育がある」と言われているようで、学校によって特色や雰囲気も異なります。
オランダ移住後に子どもを学校に通わせるなら、是非自分たちで色々な学校に足を運んでみて下さい。
きっと子どもにピッタリな理想の学校が見つかるはずですよ!
オランダと日本の教育システムの違い【実際に移住したあとの流れも解説】
ここまで、オランダの教育システムについて詳しく解説していきました。
それでは、実際に日本とオランダの教育システムの違いを比較してみましょう。
・学校制度(小・中・高・大):6・3・3・4制
・義務教育期間:6歳〜15歳
・学期制:3学期制
・学校年度:4月〜3月
・部活動:あり
・飛び級&留年制度:なし
・学校制度(小・中・高・大):8・4〜6・4制
・義務教育期間:5歳〜18歳
・学期制:なし
・学校年度:8月〜7月
・部活動:なし(地域のスポーツサークルなどに参加する)
・飛び級&留年制度:あり
・その他:学費は義務教育期間は無償(公立・私立ともに)
いかがでしょうか?
日本との大きな違いの1つは「学校制度」です。
オランダでは、「8・4〜6・4制」が採用されています。
・保育園(幼稚園):0〜3歳
・小中一貫校:4〜12歳
・高校:13〜18歳(ここまでが義務教育で学費が無料)
・大学:19〜22歳
日本とは大きく違いますよね。
義務教育の18歳まで私立・公立を問わず学費が無料という点でも、オランダの子育てのしやすさに大きく関わってくるのではないでしょうか?
また、高校になると「大学進学を目指す大学準備教育コース(6年)」、「上級中等普通教育コース(5年)」、「中等職業準備教育コース(4年)」の3つの進路に分かれます。
子どもたちは自分が将来やりたい事を軸に、自分の進路を選択するのです。
「大学進学を目指す大学準備教育コース(VWO)」に進学する生徒は、成績が優秀な生徒が集まります。
このコースを無事に卒業すると、総合大学へ進学する資格が与えられます。
「上級中等普通教育コース(HAVO)」へは、教師、会計士、弁護士、看護師などの専門職を含む一般的な職業に就きたい生徒が集まります。
卒業後は「専門教育大学(HBO)」、もしくは「中等職業教育機関(MBO)」に進学し、自分の望む職業に就くための専門的な資格を取得します。
また、このコースでも総合大学を目指すことも可能です。
HAVOを5年かけて卒業し、VWOの5年生に編入して2年間学ぶと総合大学へ進学するための修了資格を得ることができるようになるのです。
「中等職業準備教育コース(VMBO)」に進む場合、電気やIT、機械などの工業、商業、福祉、農業などの分野に就職するための学問を学べます。
職業訓練や実習もあるので、より実用的な内容を学べるでしょう。
卒業後は就職、もしくは中等職業教育機関(MBO)に進学して、さらに高度な専門技術の習得に努めます。
オランダの教育システムは下記の動画(英語ですが)で分かりやすく解説されているので、参考までにどうぞ。
そんな不安もあるでしょう。
しかし、オランダは世界中から移民が集まる国なので、移民の子どもたちへのフォローも手厚くなっています。
オランダ語が全く話せない移民の子どもたちは、学費がほぼ無料の「オランダ語の習得を手助けしてくれるサポート学校」に通うことが可能です。
この学校の目的は、移民の子どもたちが一般の現地校にスムーズに編入するためです。
サポート校では一般の学校のように、体育や美術、算数などの他の教科も学べます。
ここでオランダ語のサポートを受けながらカリキュラムをこなし、1年間ほどみっちり言葉の習得をします。
「現地校に通っても問題ない」と判断された場合には、そのまま現地校へ転校していくようです。
「言葉の壁」は大きいけれど、子どもたちが現地でしっかり学べるようにこんなサポートを提供してくれるのはオランダならではですよね。
これで子連れオランダ移住も安心して飛び込んでいけるでしょう。
まとめ:オランダは「外国人」、「同性カップル」、「子連れ」など、どんな人でもウェルカムな国
いかがだったでしょうか?
いかにオランダが住みやすい国、子育てしやすい国だということがお分かり頂けたかと思います。
そんなオランダでは、「日本人であること」や「自分が外国人である」という疎外感を受けづらいのも暮らしやすさの秘密となっています。
オランダでは、世界中から積極的に移民を受け入れているため、街を歩いていると色々な肌の色をした人に出逢います。
学校でも様々なバックグラウンドを持った子どもたちがおり、そんな「まぜこぜ」の中で学べるのは、子どもにとっても素晴らしい経験になるかと思います。
そんな「人種のるつぼ」であるオランダでは、どんな国の人でも歓迎され、受け入れてくれる温かさがあります。
また、オランダではセクシュアルマイノリティーにも開かれた国であると言えるでしょう。
オランダは世界で初めて「同性婚」が認められた国としても有名です。
実際にアムステルダムを散歩していると、同性カップルが子どもを連れてピクニックしている光景を目にするのも珍しくありません。
私自身も同性カップルで子育てしている親として、「将来的にはオランダで子どもたちを学ばせてあげたいな〜」なんて思っています。
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