こんな悩みに答えます。
家族のカタチが多様化するなか、異性カップルと同じように子どもを持ち「家族」として生きていく同性カップルも増えています。
2015年に渋谷区と世田谷区を皮切りに「同性パートナーシップ制度」が全国に広がりました。
パートナーシップ制度を利用し、「家族」として生きていく道を選ぶ同性カップルも多いのではないでしょうか?
この記事を書いている私(@lovethelife365)も、同性パートナーと養子縁組&同性パートナーシップを利用しています。
現在は2人の子を一緒に育てていますが、日常で不便に感じることが多いのも事実です。
日本では法律上、同性婚が認められておらず、パートナーシップ制度だけでは税金の控除や相続税が受けれないなどの問題が山積みです。
「自分らしく生きる」選択をした同性カップルが家族になる場合、日常にどんな課題があるのでしょう?
この記事では、「これからパートナーと家族として生きていきたい方」や、「同性カップルで子を持ちたい方」向けに、当事者の私が経験を元に以下の内容を解説していきます。
・同性カップルが直面する日常の課題とは?
・同性カップルが「家族」として連れ添う場合、「パートナーシップ宣誓」は必要か?
・同性カップルで「家族」になるということは、人と違う道を選ぶ覚悟が必要
悩めるセクマイさんは是非参考にしてみて下さいね。
同性カップルが直面する日常の課題とは?
異性であれ、同性であれ、好きな人と一生を添い遂げたい気持ちは素晴らしいものです。
異性であれば「結婚」という形で証明することができ、親戚や友人からも祝福されるでしょう。
一方、日本では同性婚が認められていないため、愛し合っていても法律上は「家族」として認められません。
法で守られないばかりか、両親からの反対や偏見・差別にあってしまうことも少なくありません。
ここでは、【同性カップルが日常で直面する課題】について、経験を元にお話していきます。
1.親へのカミングアウト
2.同棲
3.妊娠・出産
4.子どもを持つ
それでは早速、見ていきましょう。
1.親へのカミングアウト
まず、同性カップルが直面する課題の1つが「親へのカミングアウト」です。
当事者で親へのカミングアウトができている人は、まだまだ少数派なのではないでしょうか。
一番近い存在だからこそ、「本当のことを伝えて、反対されたらどうしよう…」と恐くなってしまいますよね。
本当のことを伝えたとしても、すんなりと受け入れてくれるのは珍しいかもしれません。
いくら最近、メディアで性的マイノリティーについて取り上げられる機会が増えても「まさか自分の子どもが…」と、ほとんどの親は思っていると思います。
私の両親も、テレビで観るだけの時は「いいんじゃない」という感じでした。
しかし、いざ自分が性的マイノリティーだと伝えると、相当ショックを受けたようで、しばらくは話を聞いてもらえない状況でした。
親としては、自分の子どもが「幸せになれないんじゃないか」と心配になったのだと思います。
同性カップルで、これから親にパートナーの存在を伝える方にアドバイスできることを以下にまとめました。
・親はすぐに受け入れられない可能性があることを心得ておく
・兄弟・姉妹など、身近にサポートしてくれそうな人がいれば先に話しておく
・性的マイノリティーに関する正しい情報を提示する
・「本当に自分はカミングアウトしたいのか?」を自分の心に聞く
これらのことは、カミングアウトする時に頭に入れておくといいかもしれません。
ちなみにですが、両親へのカミングアウトですぐに受け入れてもらえることの方が稀です。
受け入れてもらうには時間がかかる場合が多いので、正しい情報を提示しながら根気強く伝えていきましょう。
私もカミングアウト当初は「性的マイノリティーに関する本」をいくつか親へ渡しました。
親もその本に目を通してくれたようで、その後徐々に理解してくれたという感じです。
参考までに、LGBTQについて両親へ知ってもらうのにおすすめの本を載せておきます。
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最後に、「本当に自分は親へカミングアウトしたいのか?」を自分の心に問いかけてみてください。
もしかしたらタイミングは「今」じゃないかもしれません。
親にカミングアウトするベストタイミングは、自分が「伝えたい」と心から思った時です。
2.同棲
同性カップルが2人で生きていくと決めたら、まずは「住居」を探さなければなりません。
しかし、同性カップルで賃貸を探すのはなかなか難しいのが現状です。
「同性カップル」というだけで、不動産業者から部屋を紹介して貰えなかったり、入居を断られるケースもあります。
また、無事に住居が決まってからも近所付き合いをどうするかも悩ましいところ。
近所にはオープンにすべきか、友人同士でルームシェアということにしておくか悩むカップルも多いでしょう。
私も同性パートナーと同棲を始めたときは、同性カップルであることを伝えず、「同居人」として一緒に住んでいました。
これから賃貸物件を探す方は、以下の記事で同性カップルが賃貸を探すポイントを解説しているので参考にして下さいね。
ご近所付き合いに関しては、多くのカップルが悩んでいるポイントかと思います。
近所でカミングアウトするのはハードルが高いですよね。
近所でカミングアウトするかどうかは、カップル同士でよく話し合って決めるのがいいでしょう。
私も子どもがいない時には、ご近所さんには特に知らせていませんでした。(会ったら挨拶する程度なので、あえて関係性を伝えなくてもいいと判断した感じです)
一方で、子どもが生まれてからは近所が子育て世代が多いということもあり、子ども同士で遊ぶ機会も多いことから私たちの関係をオープンにしています。
私たちの場合、オープンにしたことで気持ちが楽になり生活しやすく感じるようになりました。
今では近所でママ友もでき、堂々と生活することができています。
しかし、「一概にオープンにするのが良い」という訳ではなく、カップルそれぞれの気持ちでオープンにするか決めるのがベストです。
3.妊娠・出産
近年、同性カップルで子どもを持つケースが増えてきたように感じます。
実際には女性カップルが子を持つ場合は第三者から精子提供を受け、男性カップルの場合には卵子提供を受け代理母出産してもらう必要があります。
しかし、日本では同性カップルで生殖補助医療を利用することが厳しいのが現状です。
私も海外の精子バンクを利用し、自分とパートナーがそれぞれ1人ずつ子を出産しました。
同性カップルで子を持つ当事者として、妊娠における同性カップルの難しいと思う点を挙げてみました。
・信頼できる提供者を見つけることが大変
・日本では生殖補助医療を利用することが非常に厳しい状況
まずは、「信頼できる提供者を見つけることが大変」ということ。
第三者からの精子提供と言っても方法はさまざまで、
①友人(ゲイの友人含む)
②親族
③海外精子バンク
④SNS
などの方法があります。
特に、SNSなどでは性行為を目的としている人や性感染症などのリスクも高いので信頼できる提供者を探すのはとても大変です。
私が精子バンクを利用したのも、そのようなトラブルを防ぐ為でした。
精子バンクではきちんと感染症のチェックもあり、企業が間に入るのでトラブルもほとんどないのがメリットです。
ただ、海外から精子を輸入する形となるのでお金がかかるといったデメリットもあります。
海外精子バンクに関する詳しい内容については以下をチェックしてみて下さいね。
「出産」に関しては、病院側に同性カップルであることを伝えるかどうか迷うカップルが多いと思います。
一生に一度かもしれないパートナーの出産に立ち会いたいと願う人も多いはずです。
しかし、立ち会い出産を希望するなら、病院が行う「両親学級」などに参加する必要があったりします。
もちろん、「友人」や「姉妹」として偽ることも可能ですが、気持ち的な面では「パートナー」として認めてもらって出産に挑みたいような気もします。
私の場合、病院側には2人の関係を伝えて立ち会い出産をしました。(両親学級にも「同性カップル」として堂々と参加してみました(笑))
出産時に急遽医療介入が必要になった際には、パートナーのサインで書類の記入ができたのはありがたかったです。
しかし、同性カップルでも同じ対応になるかどうかは病院によってまちまちかもしれません。
同性カップルで出産を迎えるなら、病院選びは慎重に行うと良いかと思います。
4.子どもを持つ
同性カップルの場合、子どもを持ってから何かと不便に感じることが増えるかと思います。
以下はほんの一例に過ぎませんが、いくつか挙げてみました。
・「お父さんは?」など不意に父親について聞かれる
・どちらかが「ママ」で、一方は「友達」と認知される
・市役所や保育園、学校などのあらゆる場面で説明が必要
・パートナーと子育てしているのに戸籍上は「ひとり親」
など、同性カップルではあらゆる場面で説明(カミングアウト)が必要になってきます。
毎回、子どものことについて説明するのは疲れてしまうことも…。(かといって、子どもの前では嘘はつきたくないので葛藤する)
私の子どもたちはまだ幼いので、これから年齢が上がるにつれ、乗り越えなければいけない壁は多く見つかるでしょう。
同性カップルが「家族」として連れ添う場合「パートナーシップ宣誓」は必要か?
ここまで、同性カップルが「家族」として生きるのに直面する課題について話してきましたが少しネガティブ過ぎたかもしれませんね。
日本ではまだまだ改善が必要なことは多くありますが、同性カップルで「家族」になる決断をするのは素晴らしいことだと思います。
性別に関わらず、好きな人と人生を添い遂げるのは誰もが持っている権利です。
そこでここでは【同性カップルが連れ添う場合に「パートナーシップ宣誓」は必要か?】についてお話ししていきます。
結論から言うと、「できるならしておいた方がいい」という感じです。
パートナシップ制度は、婚姻とは違い国の法的効力は発揮されませんが自治体が定めた特典を受けることは可能です。
例えば、
・パートナーの病院への付き添いや面会、医療行為の同意を行う際の理解が得られやすい
・公営住宅に入居できる
・生命保険の受取人に指定することができる
・賃貸物件の契約で理解を得やすい
・クレジットカードで家族カードが発行できる
・会社の福利厚生を利用できる
・あらゆる場面で「パートナーシップ証明書」を見せると説明が省略できる
・自治体が「同性カップル」の存在を把握してくれる
など。(※自治体によって特典は異なるので確認が必要です)
婚姻における法的な効力ほど絶大なものではありませんが、もしも住んでいる自治体が導入しているのであれば利用するのもいいでしょう。
ちなみにですが、私は初めにパートナーと養子縁組をしていましたが、後にパートナーシップ宣誓も行いました。
理由は、
・養子縁組を利用していてもパートナーシップ制度が利用できると聞いたから
・パートナーシップ制度を利用することで、勤務先の福利厚生が利用できるから
・少しでも自治体や国に「同性カップル」の存在を知って欲しかった
といったものです。
養子縁組をしていてもパートナーシップ制度が利用できるかは、自治体によって異なるかもしれません。
しかし、パートナーシップ制度を利用することで、勤め先の福利厚生が利用できるのはとても大きかったです。(パートナーの子供の看護休暇が取れるなど)
また、微力ながら自分たちがパートナーシップ宣誓をすることで、自治体や国に同性カップルの存在を知ってほしいという気持ちもありました。
同性カップルが生きやすい国になるには、当事者が声をあげていかなければと思っています。
これからも、当事者として誰もが暮らしやすい国になるよう声を上げていくつもりです。
まとめ:同性カップルで「家族」になるということは、人と違う道を選ぶ覚悟が必要
いかがだったでしょうか?
性別を問わず大好きな人と人生を過ごしたいですよね。
しかし、親の反対や周囲の目、同性同士の未来が描けないなどの理由で別れを選択するカップルが多いのも事実です。
人と違う人生を歩むというのはそれなりの覚悟と勇気が必要です。
余談ですが、ジブリ映画の『耳をすませば』で、主人公の月島雫の父の名言が心に突き刺さります。
「よし、雫、自分の信じる通りやってごらん。 でもな、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ。 何が起きても誰のせいにも出来ないからね。」
月島靖也 『耳をすませば』より
この言葉はまさに、人生を決断するときに背中を押しつつ覚悟することの必要性も説いています。
人と違う人生を歩むのは大変なことも沢山経験すると思います。
しかし、たった1度の人生。
誰のものでもない人生。
自分が信じる道へ進みましょう。
終わり!
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