
皆さんは、アメリカの社会派ドッキリ番組「What would you do?(あなたならどうする?)略:WWYD」を知っていますか?
 対象者は一般人で、彼らが社会問題に直面したときのリアクションを観察する番組です。(もちろん仕掛け人は全員役者ですよ!)
 ここでいう社会問題とは、同性愛・人種・障がい者・貧困といったマイノリティーの人々が差別に合うことを意味しています。
 最近では「Black Lives Matter」のデモが全米から世界中に広がったのも記憶に新しいですね。
 そんな「自由の国アメリカ」の裏では、さまざまなをバックグラウンドを持つマイノリティーが今も差別と戦っているのです。
 「What would you do?」では、日常でマイノリティーが受ける差別をリアルに役者が再現し、一般人の反応や考え方を客観的に見ることができます。
 多様な価値観に触れることで学べることや感じることも非常に大きいのではないでしょうか。
 もしも、あなたが日常でそんな場面に出くわしたら…?
 What would you do?(あなたなら、どうする?)
【What would you do?】同性愛編

 近年、世界的に性的マイノリティーへの理解が進んできているものの、差別や偏見が未だに残っていることも事実です。
 WWYDでは、同性愛者が実際に日常で受けた差別を忠実に再現してモニタリングしています。今回紹介する動画では、「子どもを持つ同性愛者」と「カミングアウト」をテーマにした内容です。
 個人的な意見ですが、私はこの動画を見るたびに涙が出てきます。
 性的マイノリティーの役者を自分と重ねてしまうからでしょうか…
この状況を目撃する人々は、何を思い、どんな行動をとるのでしょうか。
 それではご覧ください。
 What would you do?(あなたなら、どうする?)
同性愛者へのサービスを店員が拒否したら?【What would you do?】
こちらの動画では同性カップルと子どもたちがレストランで食事をしていると、店員さんに明らかな差別を受けるという設定。
 もちろん、仕掛け人は全員演技でやっているのですが役者の女性は現実でも同性愛者で、悲しいことにここの動画で起こる出来事は日常だと言っています。
 また、こちらの動画の撮影が行われているテキサス州では「同性愛者へのサービスを店側が拒否できる29の州のうちの1つ」だそう。
 アメリカの中でも特に保守的で同性愛者が子どもを育てるには厳しいと言われるこの地域で、テキサスの人々はどんな反応を見せるのでしょうか。
父親がゲイをカミングアウトする息子を受け入れなかったら?【What would you do?】
こちらの動画の設定は、息子が父親にゲイであることをカミングアウトするが受け入れてもらえないというものです。
 この動画の内容は、家族にカミングアウトする多くのマイノリティーが経験しうることではないでしょうか。
 私も両親にカミングアウトしたことがあり、最初は受け入れてもらえずとても悲しい経験をしました。家族に拒否されることは本当に辛いことですよね。
 ここで登場する男性の「カミングアウトはね、君の両親のためじゃないし、君の友達や他の誰でもなくて、君のためにするものなんだよね」という言葉が胸に突き刺さります。
【What would you do?】障がい編

障がい者への差別や偏見は、今でも多く残っており社会問題とされています。
 日本でも2016年7月に発生した「障がい者施設殺傷事件」でも大きなショックが広がりました。「障がい者は不幸」と言う犯人の言葉の根底にあるのも、差別や偏見ではないでしょうか。
 WWYDでは実際に障がい者が日常で受ける差別的発言や偏見を再現しています。
 こんなとき、あなたならどんなことができますか?
ダウン症を持つ店員に客が心ない言葉を浴びせたら?【What would you do?】
こちらの動画では、障がいを持つ店員に対して仕掛け人である客が失礼な発言や態度を繰り返す設定。
 誰しもこのような差別を目撃することは嫌な気持ちになるものですが、沈黙を守る人が多いことが問題視されています。
 この場合に遭遇した時に沈黙を守ることは、差別を容認するのと同じであり、繰り返し間違いを指摘することが重要だと述べています。
 声を上げて間違いを指摘するのは勇気が必要です。しかし、声を上げる人が増えれば少しづつ社会は変わっていくのではないでしょうか。
 ここでも間違いに立ち向かう人々の愛のある言葉に注目です。
店員が視覚障がいを持つ客を騙したら?【What would you do?】
次の動画では、視覚障がいを持つ客へのお釣りをごまかして渡す設定。
 アメリカでは紙幣の大きさが全て同じであるため、このような被害に遭う視覚障がい者が多いのだそう。
 ここでは、仕掛け人である視覚障がいを持つ客を男女で分けてモニタリングしており、驚くことに男女の違いによっても周りの反応も大きく変わります。
 あなたなら、どんな行動が起こせますか?
【What would you do?】人種編

「人種のるつぼ」と呼ばれるアメリカ合衆国には、さまざまな人種・宗教・価値観を持つ人々が暮らしています。
 そんな移民大国でもあるこの国では、約400年にも及ぶ差別との闘いの歴史があります。
 現代においても、無実の黒人男性が白人警官により殺害されると言う痛ましい事件が起き、「Black Lives Mater(黒人の命は大切)」運動が全米から全世界へと広がりました。
 このような人種のステレオタイプが招く事件が後を立たないことが社会問題となっています。
 もちろん、黒人だけでなくヒスパニックや中東系、アジア系もアメリカではマイノリティーとみなされているのです。
 今年に入って猛威をふるっている新型コロナウィルスによりアジア人も人種差別の対象になり街中でアジア人が襲撃されると言う悲しい事件もありました。
 WWYDではそんな深刻な人種差別問題もモニタリングしています。
黒人差別編
店員が黒人の大家族に挑発的発言をしたら?【What would you do?】
こちらの動画では、レストランを利用する黒人の大家族に店員が挑発的な言葉を掛けるという設定。
 「生活保護は?」「父親は皆同じ?」など、かなり挑発的な言葉を掛ける店員ですが、これも残念ながら日常的に経験することだそうです。
 果たして差別を目の当たりにした人々はどんな行動に出るのでしょうか?
黒人の子どもを養子にした女性に失礼な質問をしたら?【What would you do?】
続いての動画は、黒人の子どもを養子にした女性に対して心が痛むような差別的質問を投げ掛ける設定。
 「白人なのになぜ黒人の子どもを養子にしたの?」や「人種が違うと本当の親子にはなれない」といった耳を疑うような発言が次々飛び出します。
 子どもを愛することを邪魔するような発言に、同じく黒人の子どもを養子にした白人のおじさんの「人種は、人が問題と考えた時だけ問題になる。問題になる必要もないし、そもそも問題じゃない」という愛の溢れる言葉に救われます。
父親が娘のボーイフレンド(黒人)を認めなかったら?【What would you do?】
両親に恋人を紹介するのはとても勇気がいることですよね。しかし、勇気を出して紹介した恋人を認めてもらえなかったらどんなに傷つくでしょうか?
 こちらの動画では、白人の娘が父親に黒人のボーイフレンドを紹介する設定。
 黒人であるという理由だけで父親は恋人を拒否する設定ですが、この動画で興味深かったのは、「人種に囚われず、愛し合うべき」という意見と「異人種間では恋愛すべきではない」という、対照的な意見が聞けることです。
 差別はすべきではないと声をあげる人が多数いる一方で、差別をする人が多数いることも事実。そんなリアルな現実を知ることができる動画です。
ムスリムアメリカン編
店員がムスリム女性へのサービスを拒否したら?【What would you do?】
こちらの動画ではムスリムアメリカンの女性が店員からサービスを拒否される設定。
 悲しいことにムスリムアメリカンにとっても差別とは日常なのです。こちらの役者の女性は実際にアメリカで生まれたムスリムアメリカンですが、「祖国に住んでいる心地がしない。だからこの戦い続ければならない」と話しています。
 そして興味深いことに、モニタリングしている人々の反応も驚くほどにさまざまです。
 差別に立ち向かう人、見て見ぬ振りをする人、差別する店員を支持するかのように親指を上に立てて激励する人。
 同じアメリカ人でもさまざまな考え方を持っていることが分かる動画です。
アジア系アメリカン編
マッサージ店の店員に明らかな人種差別をしたら?
アジア系の人々もアメリカでマイノリティーとして生きる人々です。
 私たちは日本という島国で暮らしているのであまり日常では実感することはありませんが、海外旅行中や留学中に自分がマイノリティーであることを実感する事は多いのではないでしょうか?
 こちらの動画でもアジア系アメリカンのマッサージ店の店員が客に差別的発言をされてしまいます。
 どうしても他人事とは思えない動画です。
【What would you do?】貧困編

 最後に、アメリカだけでなく世界的に問題となっている「貧困問題」を取り上げてみました。
 皮肉にも世界の億万長者のトップ10のうち7割がアメリカ人という事実もある一方、国内の貧富の格差は年々広がり続けています。
 「自由の国アメリカ」と呼ばれる一方、貧困になるのは自己責任とされ、厳しい環境にさらされるアメリカの人々は貧困問題と差別にどう向き合うのでしょうか。
 誰にでも大変な時期を経験するでしょう。そして、この動画に登場する仕掛け人も今まさに助けが必要なときです。
 こんなとき、あなたならどうしますか?
シングルマザーの貧困女性がレジで支払いが出来ずに困っていたら?【What would you do?】
今日食べるものを買うのにも厳しい。
 そんな状況の人が目の前に現れたらあなたはどう行動しますか?
 アメリカでは「フードスタンプ」という低所得者向けに行われている食料費補助対策があり、現在のアメリカでは8人に1人がこのプログラムを利用しているのです。
 日常でもこのような出来事は十分起こり得るのです。
 助けを必要とする人が目の前に現れたら、人々はどんな行動を起こすのでしょうか。
バーにやってきたホームレスの男性を店員が追い出したら?【What would you do?】
最後にこちらの動画。
 ホームレスの男性がバーを訪れると、店員があからさまな侮辱を始めます。
 運に見放されたホームレス男性に手を差し伸べる人はいるのでしょうか?
 ホームレスの男性に手を差し伸べるおじいさんが店員に言い聞かせる
 「君はひもじい思いをした事はないのかい?1度でも誰かの助けが必要だった事はないのかい?
 不幸だった事はないのかい?抜け出したくなるような不幸を感じた事はないのかい?」という言葉に込められた、助け合うことの大切さを考えさせてくれます。
What would you do?「あなたならどうする?」

 さて、今回はアメリカの社会派ドッキリ番組「What would you do?」を取り上げ、社会問題に対する人々の行動や言葉から大切な考え方を学ぶことが出来たのではないでしょうか。
 この動画は少し古いのですが、勉強になることが多く、今回紹介した社会問題だけでなくもっと幅広いテーマの動画も出ているので興味がある人は是非ご覧下さい。
 日本でも多くの番組がドッキリ企画をしていますが、WWYDのような企画も増えてもいいのでは?と感じます。
 最近日本では某番組で「おっさんずラブドッキリ」という企画が問題&炎上しています。
 同性愛者を「笑っていい存在」としてエンタメで消費することによって、「笑っていい存在」としての認識が浸透してしまうことが問題視されています。
 こちらの動画はこの問題となったドッキリ企画に対して、とても分かりやすく問題を指摘しています。
今回ブログに紹介した動画を観ることによって、今一度社会問題についてを考え、向き合い、自分ならどんな行動を起こせるかを考える良いきっかけになることを願います。
 さて、今回の動画のようなさまざまな社会問題に直面したら「あなたなら、どうする?」
 おわり!
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