「LGBTは子どもを産めないので生産性がない」
自民党の議員がこのような発言をして話題となりましたが、果たして本当に生産性がないのでしょうか?
この記事を書いている私は、2018年に同性パートナーと養子縁組を結び、2020年に娘を出産しています。そして、2021年の春にはパートナーが出産予定なのです。つまり、「生産性がない」どころか「生産しまくっています」(笑)
しかしながら、「同性カップルが子どもを持つ」ということに関してリアルな情報があまりなく、悩んでいる方も大勢いるかと思います。過去の私も同じように、
「同性カップルで子どもが欲しいけど、そもそもそれは可能なのか?」
「可能だとしたらどんな方法があるんだろう…」
といった疑問や不安を抱えていました。
今回、この記事では下記のことを私自身の体験談も交えながら解説していきます。
・同性カップルが子どもを持つことは可能
・同性カップルで子どもを持つ方法(女性同士カップルの場合)
・同性カップルで子どもを持つ方法(男性同士カップルの場合)
同性カップルで将来子どもを持ちたいと思っている場合には参考にしてみて下さいね。
同性カップルが子どもを持つことは可能【私が証明です】
まず結論ですが、同性カップルが子どもを持つことは可能です。
なぜなら私も実際に子どもを持つことができました。
2019年に海外の精子バンクを利用して妊娠し、2020年に娘を出産しています。
今はパートナーと子育て中で、周りの家族と何ら変わりのない子育てライフを楽しんでいます。私の周りの友達同性カップルでも子どもを持ち、育てている人は沢山いるので同性カップルで子どもを持つことに関しては可能です。
では、「どのような方法があるの?」という疑問に関しては、
次に紹介する「同性カップルで子どもを持つ方法」で解説していきます。
具体的な方法を知れば、実際に子どもを持つイメージが湧くかもしれません。
それでは、具体的な方法を見ていきましょう。
同性カップルが子どもを持つ方法(女性同士カップルの場合)
「子どもを持つ方法」は女性同士カップルと男性同士カップルで方法が異なります。まずは女性同士カップルが子どもを持つ方法から見ていきましょう。
結論から言うと、方法は5つあります。
・精子バンクの利用
・精子提供ボランティアの利用
・友人や親族からの精子提供
・里親になる
・パートナーの子どもを一緒に育てる
上記の内容を詳しく紹介していきます。
精子バンクの利用
まず1つ目の方法は「精子バンクの利用」です。
実際に私達も海外の精子バンクを利用して子どもを作ることができました。
まず「精子バンク」とは、ドナーから採取した精子を凍結保存し、希望者に有料で提供する仕組みです。精子バンクに登録されているドナーは全て感染症の有無や遺伝病を精査し、問題ないと判断されているものしか登録されないので安心です。
また、精子バンクによっては「精子の運動率」や「ドナーの人種」「瞳の色」「身長・体重」「ドナーの顔写真」まで公開している場合もあり、自分たちの希望に合わせてドナーを選択することができます。
例えば、自分のパートナーと同じ髪色で同じ血液型にする、など。
欧米では既に同性カップルの利用が拡大していますが、日本では法の整備や仕組みが進んでいないのが実情です。
日本における「非配偶者間における人工授精(AID)」は、婚姻している夫婦への提供という条件があるので同性カップルは残念ながら利用できません。
つまり、精子バンクを使って子どもを持つなら現状は「海外の精子バンク」を使う方法のみとなります。
私たちが「精子バンク」を利用したときはHPの情報も英語のみとなっており、精子バンクとのやり取りも英語だったので少し苦労しました。しかし、今は割と大きな精子バンク企業が日本に参入してきたので日本語OKの会社もあり、利用もしやすくなったかと思います。
精子提供ボランティアの利用
2つ目の方法は「精子提供ボランティアの利用」です。
私たちの周りのカップルでもこの方法で子どもを授かった人がいます。
主にインターネットやSNSを通じて「精子提供ボランティア」を探し、実際に連絡を取り合います。気に入った提供者が見つかれば、実際に会ってみて精子提供を受けるという流れになることが多いようです。
精子提供ボランティアは個人的にやっている人から、インターネットでのマッチングサイトまで様々です。値段も無償ボランティアもあれば、謝礼という形で提供者に支払う場合もあるようです。
「精子提供ボランティア」で探す際のポイントとして、以下のポイントを抑えておいた方が良いでしょう。
・精子提供者の人柄
・提供者の人ときちんとコミュニケーションが取れるか
・提供する際の方法や流れ
・性病や精子検査結果の確認
・交通費や謝礼
・今後の関わり合いの確認
精子提供ボランティアから提供を受けることが決まったら、次に確認したいポイントとして「提供方法」があります。
精子提供には、3つの提供方法があるので紹介します。
シリンジ法
シリンジ法とは、シリコン製の注射器を使用し、精子をスポイトのように吸い上げて膣内に注入する方法です。
男性との性行為をする必要もないので、この方法を選ぶカップルが多いかと思います。
男性が射精するための環境と女性が精子を注入するための場所が必要となるので、
ホテルのロビーなどで待ち合わせて実施することが多いようです。
タイミング法
タイミング法とは、排卵のタイミングに合わせて自然な性行為により提供する方法です。
シリンジ法に比べて妊娠する確率は上がりますが、パートナーの深い理解が必要です。
また、タイミング法は慎重に判断すべきです。なぜなら、金銭目的や安易な性行為目的、万が一の性感染症のリスクなどがあるからです。
LGBTQ当事者としては異性との性行為自体、受け入れることが難しい場合もあります。
人工授精
人工授精とは、採取した精子を医療機関で体内に注入する方法です。
人工授精は身体的にも費用面でも負担が少なく、不妊治療における一定の評価も得られている方法です。
しかし、ほとんどの医療機関では「婚姻関係のある男女」でなければ人工授精ができないのが実情です。最近では、未婚でも事実婚であれば人工授精を受け入れてくれる病院があるようですがごく僅かで、同性カップルは「独身」とみなされてしまうので厳しいようです。
どんな方法を選ぶにせよ、パートナーや精子提供者としっかり話し合いすることが重要ですね。
友人や親族からの精子提供
方法の3つ目は「友人や親族からの精子提供」です。
私たちの周りにもこちらの方法で子どもを持とうとしているカップルがいます。
「血のつながり」を重視する場合、パートナーの兄弟や父親からの協力を得るという方法があります。もしも親族からの協力を得るなら「カミングアウト」と「親族の理解」が必須になることでしょう。
「信頼できる友人からの提供」の場合、今後の関わり方や友人にパートナーがいる場合にはその方の理解も必要です。今後、子どもが生まれてからトラブルにならないようにしっかりと事前にコミュニケーションを取ることが大切です。
里親になる
方法の4つ目は「里親になること」です。
2016年に大阪市で初めて同性カップルが養育里親に認定されました。
里親になるには事前に地元の自治体の里親制度説明会に参加し、里親研修を受けることになります。
なかなか同性カップルの前例がない自治体ばかりですが、今まで里親に認定された事例があることから自治体に相談する価値はあるかもしれません。
パートナーの子どもを一緒に育てる
最後は「パートナーの子どもを一緒に育てる」方法です。
これは、パートナー、もしくは自分が一度婚姻しており、その際に設けた子どもをパートナーと一緒に育てるパターンです。
どちらか、または両方がシングルマザーだった場合には子どもを一緒に育てることになる可能性があります。
その際に、子どもにはきちんとした説明をする必要があります。
子どもたちにカミングアウトして納得してもらえることができれば、きっと素敵な家族になることができるでしょう。
同性カップルで子どもを持つ方法(男性同士カップルの場合)
さて、ここからは「男性カップルが子どもを持つ方法」を紹介していきます。
結論から言うと、方法は2つです。
・代理母出産
・里親
男性同士の場合、「僕たちには子どもは産めないから…」と諦めている人が多くいるような気がします。
しかし、世の中には男性カップルでも子どもを持って幸せに暮らしている人がたくさんいるので決して不可能な話ではありません。
英国歌手のエルトン・ジョンやマット・ボマーも、代理母出産で誕生した子どもを同性パートナーと育てています。
それでは具体的な内容を解説していきます。
代理母出産
まず1つ目の方法は「代理母出産」です。
エージェントを通して代理母になってくれる女性を探して卵子提供を受け、どちらかの精子と受精させて妊娠・出産してもらう方法です。
代理母出産で子どもを持つには、トラブルを避けるためにも信頼できるエージェントを利用することが必須です。
また、「どこの国」で代理母出産をするのかによって大きく費用が異なります。
現在は、北米・中南米・ロシア・ウクライナ・ジョージア等で行うことができるようですが、参考までに金額はアメリカでは約2000万円、ロシアでは約900万円、ウクライナでは約600万円となっているようです。
なかなか代理母出産についての情報が無いなか、自分たちの経験を詳しく発信しているブログがあります。スウェーデン在住の男性カップルのブログで「代理母出産」で息子を授かるまでの情報が詳しく書かれているのでぜひ参考にしてみるといいかもしれません。
方法の2つ目「里親になること」については、先ほど紹介したので省略します。
同性カップルが子どもを持つことは素晴らしい選択
世の中には、「同性カップルに生まれた子どもが可哀想」「子どもがいじめに遭うんじゃない?」と言う意見も少なからずありますよね。しかし、「望まれて生まれてくること」「愛されて育つこと」ができた子どもは幸せだと思います。
親が2人とも同じ性別であろうと「ふつう」の幸せな家族となんら変わりはないのです。
偏見や差別を変えるのは「教育」です。
私たちはみんな同じ人間であり、様々な家族のかたちや愛のかたちがあることを親や大人が子どもたちに伝えていかなければいけませんね。
そうした積み重ねが未来をもっともっと良くするための方法だと感じています。
同性カップルでも子どもを持つという選択をしたことに誇りを持って生きていきましょう。
おわり!
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