この記事では、こんな疑問に答えます。
日本でも増えつつある同性カップルの子育て。
多様な家族が増えるのはとても誇らしいことですが、日本では法整備が進んでいないのが現実です。
2015年から「同性パートナーシップ制度」が各自治体に導入を始めましたが、あくまでもパートナーの存在を自治体が認めるというものです。
一方で、「同性カップルで子を育てている」という事実は想定されていません。
今後も増えてくるであろう同性カップルに育てられる子どもたちですが、戸籍上ではどのような取り扱いとなっているのでしょう?
この記事を書いている私(@lovethelife365)は、2018年に同性パートナーと養子縁組し、精子提供を受けてそれぞれが妊娠・出産をしました。
現在は、パートナーと2人の娘を子育て中です。
そんな私が、事実に基づいて【同性カップルの子どもの戸籍】について解説します。
・同性カップルの子どもの戸籍について
・同性カップルの法的問題点:共同親権を行使できない
・養子縁組している同性カップルの戸籍表記
・カップルそれぞれが子を産んだ場合、戸籍上の兄弟姉妹にできるか?
同性カップルの子どもの戸籍について
「戸籍」とは、出生してから死ぬまで自身の身分を登録・証明するためのものです。
しかし、「同性カップルの子どもの戸籍」について疑問を持つ方は多いはず。
ここでは、同性カップルが子どもを持つ場合の戸籍表記について詳しく解説していきます。
まず最初に、原則として戸籍は「3代戸籍」を禁止しています。
つまり、
○「自分、子ども」→2代戸籍
×「両親、自分、子ども」→3代戸籍
なので、子を設けたときに両親と同じ戸籍に入っていた場合には、「除籍」となって新しい戸籍に入ります。
そして、女性同士のカップルで片方が子を出産した場合には、出産した女性の戸籍に子どもが加わります。
一方、出産していないパートナーは同じ戸籍に入るわけでもないので、戸籍上は何も変わりません。
(例)女性カップル:Aさん(出産)とBさん(出産していない)の場合
→戸籍上は、
・Aさんの戸籍:「Aさんと子ども」が記載される
・Bさんの戸籍:「Bさん」のみで変更なし(子の追加記載なし)
女性カップルで子育てをする場合、2人で協力しながら子どもを育てていきますよね。
しかし、戸籍上はあくまでも実母のみに「親権」がある状態です。
続いては、上記のような片方のみにしか親権が持てない場合に起こる問題について解説します。
同性カップルの法的問題点:共同親権を行使できない
先ほどの例のように、女性カップルの場合「どちらかが妊娠・出産する」というパターンがあります。
その場合、出産していない方は法律上「他人」として扱われてしまいます。
そうなってくると、
・実母が死亡してしまった場合など、親権を行使することができなくなった場合に継母であるパートナーが親権を行使することができない
といった悩ましい問題があるのです。
子どもにとっても、ずっと育ててくれた継母が子育てする権利がなくなると、その後の子の養育環境に大きな影響をもたらします。
このような問題を解決するには、遺言による未成年後見人の指定をすることで対策できます。
同性カップルできちんと遺言書まで作成して備えている人は、案外少ないのではないでしょうか?
これを機に、今から準備できる手続きなども紹介しているのでご覧ください。
養子縁組している同性カップルの戸籍表記について
同性カップルの子どもの戸籍表記については先ほど説明しましたが、もしも同性カップルが養子縁組している場合はどのようになるのでしょう?
まず、養子縁組をするとカップルで年上の方が必然的に「養親」となり、年下の方が「養子」となります。(養子側は「養親の苗字」へと変わります)
もちろん、戸籍にもそれは記載されます。
同性カップルが養子縁組した場合に戸籍に反映される内容としては、
・養子縁組した日
・養子氏名または養母氏名
・続柄(「養子側に「養女」と記載される)
となります。
ここで、カップルのどちらかが子を出産した場合には、出産した方の戸籍に子どもの情報が記載されます。
また、カップルが同じ戸籍の場合には子どもを出産することによってそれぞれ別戸籍になってしまいます。
理由は、「3世代戸籍の禁止」に該当してしまうからです。
×養親、養子、子ども→3世代なのでNG
○養親、子ども→2世代なのでOK!
○養親、子ども→2世代なのでOK!
実際に私も養子縁組した際にはパートナーと同一戸籍でしたが、娘を出産したことにより「3世代戸籍の禁止」に則って私は戸籍から除籍されています。
同性カップルで子どもをそれぞれが産んだ場合には、以下のような関係になります。
・養親にとって、養子の子ども(パートナーの子)は「孫」となる
・養子にとって、養親の子ども(パートナーの子)は「兄弟姉妹」となる
・子ども同士は、「伯父」、「叔母」または「甥」、「姪」になる?!
(※子ども同士の場合は確認ができていないのですみませんが憶測です)
こうして見ても、かなりややこしいですね。
養子縁組すると、パートナーの産んだ子どもが戸籍上では「孫」やら「兄弟姉妹」になっています。
子ども同士は、「伯父」「叔母」または「甥」「姪」になってしまうのか?などと考えてしまうともう何が何だか分からなくなってきます。
実際に私たちもパートナーと自分がそれぞれ子どもを産んでいますが、保育園などに通うとなると子どもたちは「兄弟姉妹」として扱われるのか?という問題にぶち当たります。
市役所に問い合わせてみると、私の市では「姉妹として認める」という方針でしたが。(ホッ…)
続いては、子ども同士を戸籍上の兄弟・姉妹にすることは可能か?について解説します。
カップルそれぞれが子を産んだ場合、戸籍上の兄弟姉妹にできるか?
結論からいうと、可能です。
方法としては、どちらかの子を「養親」または「養子」と養子縁組する方法です。
ケース①:養親と養子の子(パートナーの産んだ子)を養子縁組する
ケース②:養子と養親の子(パートナーが産んだ子)を養子縁組する
これに加えて、子どもが未成年の場合には家庭裁判所の許可が必要になります。
家庭裁判所の許可が得られれば「兄弟姉妹」として戸籍上も記載されることになりますが、注意しなければいけないこともあります。
それは、元々の親権者の親権が縁組した側に移ってしまうということです。
このような側面もあるので、子どもの養子縁組は慎重に判断しなければいけませんね。
戸籍の内容に疑問があれば、堂々と市役所に問い合わせよう
いかがだったでしょうか?
今後ますますLGBTが子どもを持つケースが増えてくることが予想されます。
日本でも同性婚が認められることがベストですが、どうやら道のりは長そうですよね…。
今回、記事では「同性カップルが養子縁組して、それぞれが子を出産する例」を挙げましたが、家族の形によって戸籍表記も様々かと思います。
もしも戸籍の内容に疑問がある場合には、市役所に問い合わせてみましょう。
とはいえ、「市役所に問い合わせても、私たちの事例を取り扱ってくれるのだろうか?」や「どんな反応をされるのか不安…」という人も多いはず。
しかし、ためらわず問い合わせることをおすすめします!
私自身も迷った挙句、勇気を出してカミングアウト&問い合わせした経験がありますが、真摯に対応してもらえました。
さらに、「こんな家族がいるんだ!」と市役所の職員に気付いてもらうことにより、市でも取り組みを推し進めてくれることにも繋がりました。
迷ったら、堂々と聞きましょう。
終わり!
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