この記事では、こんな疑問に答えます。
近年、リモートワークの普及や国際結婚、海外就職などの増加で海外で暮らす日本人が増加しています。
しかし、実際に現地で暮らす前は、異国に暮らすというワクワク感や希望に溢れ、「親の介護」まで先のことを考えずにいる場合がほとんどではないでしょうか?
しかし、自分だけでなく親も一緒に歳をとっていきます。
現地の生活にも慣れて仕事も軌道に乗ってきたタイミングで、急に親の介護に直面することがあるかもしれません。
そんな時のために、この記事では「急に親の介護に直面した時にできること」や「海外移住を決めたら親の介護に備えて準備できること」について解説します。
【この記事で学べること】
・海外在住者が親の介護に直面したら
・海外移住者が考えておくべき親の介護準備
・海外移住と親の介護【心構え】
海外在住者が親の介護に直面したら
両親を残して海外で生活をする人にとって、遠く離れた両親の健康に不安を抱える人は少なくありません。
いくらスマホが普及してテレビ電話などが気軽にできるようになっても、実際に会うことや長期間つききりで面倒を見ることは難しいのが現実です。
もしも海外居住者が「親の介護」に直面したとき、親のためにできることを見ていきましょう。
・親を海外に呼び寄せる
・兄弟/姉妹に介護をしてもらう
・日本に帰国し、自分が親の介護をする
・介護施設の利用
などの選択肢があります。
詳しく解説します。
親を海外に呼び寄せる
まず1つ目の選択肢として、「親を海外に呼び寄せる」という方法があります。
現地で就職している場合や子どもが現地の学校に通っているなどの場合では、なかなか帰国することが難しいですよね。
親を現地に呼び寄せるメリットとしては、
現地から離れることが難しい人にとって、環境を変えずに親の介護ができる
が挙げられます。
親を呼び寄せる選択は、海外居住者にとっては環境を変えずに親の介護をすることができるので助かることも多いでしょう。
デメリットとしては、
・環境や気候、食事、言葉の違いが親のストレスになる
・ビザが通らない可能性がある
・周囲に協力者が見つけにくい
・親のかかりつけ医を見つけにくい場合がある
などです。
海外居住者の中には家族連れの場合も多く、子どもたちも現地の学校に通っていたりするため、日本へ帰国するのは大きな決断です。
介護のために離職し、子どもの転校手続きをしたり引っ越すことは大変ですよね。
「親を海外に呼ぶか」迷っている人に大事なポイントとして、「親の希望を聞くこと」が挙げられます。
いくら現地の方が自分にとって介護しやすい環境でも、親は住み慣れた場所で生活したいという思いがあるかもしれません。
その場合に、海外に呼び寄せることは親にかなりの負担がかかります。
また、ビザが通らない可能性も少なからずあるため親の介護が必要になる前に自身で現地のビザ申請について調べておいた方が良さそうです。
その他にも、親戚や兄弟など、何かあった際に頼れる人が周囲にいないことや、海外の病院で親のかかりつけ医を見つけるという難しさもあります。
上記のような理由から、なかなか親を現地に呼び寄せるという選択はハードルが高い選択に思えます。
しかし、在外居住者の中でも親を現地に呼び寄せて上手くいっているケースもあるため、親の希望を聞きつつ、現実的に可能かしっかり調べて判断することが大切ですね。
兄弟/姉妹に介護をしてもらう
2つ目の選択肢は、「兄弟/姉妹に介護をしてもらう」ことです。
親の介護が必要になったとき、すぐに駆けつけられないのが海外居住者の悩みですよね。
すぐさま帰国したとしても乗り継ぎなどの関係で2日間かかってしまうこともあります。
それはもう、あれこれ考えても仕方がないことです。
海外生活を優先されるなら、割り切って親の介護を兄弟/姉妹にお願いするというのも1つの選択です。
もちろん、介護する兄弟/姉妹の負担を考えて、
・金銭的なサポート
・遺産相続を兄弟/姉妹に多く分ける
・帰国するタイミングで介護のヘルプをする
などは、海外居住者にできることかもしれません。
「親の介護」という家族にとって大事な話は、親の介護が必要になる前に兄弟や姉妹で話し合っておくことが理想です。
しかし、急に介護が必要になった場合でもどのような選択をするのか、どんな役割を担うのかきちんと話し合いましょう。
日本に帰国し、自分が親の介護をする
3つ目の選択肢は、「日本に帰国し、自分が親の介護をする」ことです。
自分が親に寄り添って介護することがベストだと判断した場合は、帰国して親の介護をするのも1つの選択です。
日本に帰国するなら考えておくべきことは、
・離職する可能性があること
・家族がいる場合は自分だけ帰国するのか、もしくは家族で帰国するのか
ということ。
とりわけ家族全員で帰国を決意する場合は、手続きや引越し、子どもの学校や職場を変えるなどの大きな変化が伴います。
日本に帰国する決断をする前に、後悔のないように自分自身のキャリアプランを見直したり、家族と話し合いをすることが重要です。
介護施設の利用
4つ目の選択肢は、「介護施設を利用する」です。
介護するために帰国できない場合や、自分以外に介護できる人がいない場合には「介護施設を利用する」ことも選択肢の1つです。
快適な環境と手厚いサービスが受けられる介護施設なら、親を安心して見てもらうことができます。
介護施設を利用する場合、
・お金がかかる
・空いている介護施設を探す必要がある
ということを、しっかり把握しておく必要があります。
高齢者が増えている日本では、人気のある良い施設は満員で入れなかったりするようです。
金銭的な面も踏まえて、慌てて準備するのではなく日本にいるタイミングで施設を見学したり調べておく必要がありそうです。
海外移住者が考えておくべき親の介護準備
海外移住予定の人も、海外居住者の人も親の介護で準備しておくべきことがあります。
それは、
・親と真剣に介護の話をしておく
・親だけでなく、兄弟/姉妹とも真剣に話す機会を作る
・介護が必要になったときの手続きやサービスを調べる
・地域の介護施設をいくつか見学しておく
ということです。
詳しく解説していきます。
親と真剣に介護の話をしておく
なんて思っていませんか?
介護は突然やってきます。
元気なうちから親と真剣に介護について話合うことは、今からでもできることです。
海外居住者の場合は帰国のタイミングやビデオ電話などを利用して、親とコミュニケーションすることもできますよね。
親と話し合う上で大切なのは、「親の希望」を聞くことです。
親の希望を聞きつつ自分の気持ちも素直に伝えてみることがポイントです。
親だけでなく、兄弟/姉妹とも真剣に話す機会を作る
もし兄弟や姉妹がいるなら、親の介護について一度話しておくことがベストです。
お互いの生活のこと、どこまで親を介護できるか、どんな役割を望むのかなど話し合うべきことはたくさんあるはず。
どちらかに負担が偏らないように、協力しあって親の介護ができたらベストですよね。
介護が必要になったときの手続きやサービスを調べる
介護が必要になってから、手続きやサービスを調べるのは大変です。
できれば介護が必要になる前に、必要な手続きやサービスを市役所などの相談窓口に行って聞いてみることをオススメします。
また、本を1冊でも読んでおけば、介護が必要になったらどんな手続きが必要かも簡単に知ることができますよね。
まずは本で調べてから、分からないことなどを相談するというようにすれば漏れなく知ることができるはずです。
親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版
地域の介護施設をいくつか見学しておく
突然介護が必要になった場合、介護施設や介護サービスセンターを決めるのにも時間がかかります。
日本へ帰国するタイミングや、海外移住する前に地域の介護施設などに足を運んで見学や相談してみるのもオススメです。
海外移住と親の介護【心構え】
「介護」は突然やってきます。
海外在住者にとって親が病気や怪我で介護が必要になったとき、すぐに駆けつけて挙げられないことが悩ましいところです。
いざ介護が必要になったとき、親や兄弟とよく話し合っていないと介護方法を決められません。
そして「親の介護」を考えておくときに一番大切な心構えは、
「自分はどうしたいのか」
ということ。
「親孝行したい」
「息子(娘)として、自分がしっかり介護すべきだろう」
という綺麗ごとだけでは厳しいかと思います。
介護は想像以上に大変なことだらけです。
お金、体力、精神的にしんどいことも多いシビアな問題なのです。
「親を大切にしたい」という気持ちを持つことは素晴らしいのですが、自分の人生を捧げてまで介護をしなくては親不幸というのは違います。
「金銭的・労力など、自分のできることはどこまでなのか?」ということを自分の気持ちに正直に問いかけてみることが大事です。
たとえ、自分の気持ちの正直になった結果「第三者(介護施設など)に親を見てもらう」という選択をしても、それは自分の中のベストな選択だということ。
親自身も、自分の介護のために子どもが自分の人生に後悔する姿を見るのは悲しいものです。
介護に正解はない
いかがだったでしょうか?
グローバル化に伴い、今後も海外移住者が親の介護に直面することも多くなってくるのではないでしょうか。
そんな時にのために、この記事ではいくつかの選択を紹介しましたが「正解」はありません。
それぞれの家族にベストな選択肢があるかと思います。
親自身も、決断したことで罪悪感を持ったり、人生の犠牲になったなどの後悔をして欲しくはないはずです。
自分の気持ちに正直に、そして親や兄弟たちと真剣に向き合って「あなたの家族らしい選択」をしてくださいね。
終わり!
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