こんな疑問に応えます。
こんにちは、Yuri(@lovethelife365)です。
わたしは現在、同性パートナーと2人の子どもを育てています。
私たちは2018年に養子縁組をし、2019年に海外の精子バンクを利用して妊娠、2020年に出産しました。
その後、2020年に同じドナーから精子提供を受けてパートナーが妊娠し、2021年に出産しました。
つまり、2人がそれぞれ産んだ子どもを一緒に子育てしています。
そんな私たちも、付き合っていた頃からずっと「女性同士で子どもを妊娠・出産する方法」を模索していました。
ネットやニュースでひたすら検索し、
「同性パートナーと赤ちゃんが作れる?!同性マウスから子供誕生」
といったニュースを見つけるものの、心のどこかでは、「同性婚すらまだ認められていない日本で同性同士で子どもを作れたとしても、制度が追いつくのを待っていたらおばあちゃんになっちゃう!」と感じていました。
最近では、さまざまな方法で子どもを持つ同性パートナーが増えてきましたよね。
数ある選択肢があるなかで、私たちは「海外精子バンク」を選びました。
この記事では、精子バンク利用経験者として「これから子どもを育てていきたい女性カップル」へ向けて「精子バンクのメリット・デメリット」や「おすすめの精子バンクの紹介」を詳しく解説していきます。
-この記事で学べること-
・海外精子バンクのメリット・デメリット
・おすすめの精子バンク【わたしが利用した精子バンクも紹介】
・精子バンクでドナーを選ぶときのポイント
海外精子バンクのメリット・デメリット
女性同士のカップルの場合、子どもを持つ方法の選択肢がいくつかありますよね。
ここでは、「同性カップルが子どもを持つ方法」については割愛しますが、興味のある方は以下の記事でも詳しく解説しています。
今回は、選択肢の一つである「海外の精子バンクを利用する場合」のメリット・デメリットを紹介します。
精子バンクを利用するメリット
まず、メリットは以下のとおり。
①トラブルが少ない
②選び抜かれた健康な精子を提供してもらえる
③ドナーの詳細情報を知ることができる
④子どもが望めば将来ドナーに会う権利が保証されている
それでは、詳しく解説していきます。
メリット①:トラブルが少ない
精子バンクは海外の民間企業がドナーの管理をしており、しっかりとした規定と契約に基づいてドナー登録を行っているので「トラブルが少ないこと」が最大のメリットだと感じます。
ドナーになる側も、しっかりと契約を承認した上で提供を行うので提供後のトラブルリスクはかなり少ないと言えます。
もしも、精子提供者が「生まれた子どもは自分にも親権がある!」と言い出したりしても、しっかりと契約を交わされた上で登録しているので安心です。
これは、私が「海外精子バンク」を選択肢した一番の理由でもあります。
無償ボランティアや知人に依頼して、万が一子どもが生まれてから「父親としての親権」を求めてきたらややこしい問題になるでしょう。
そんなトラブルを避けられるメリットがあります。
メリット②:②選び抜かれた健康な精子を提供してもらえる
精子バンクに登録するためには、とても厳しい基準があると言われています。
精子の品質、本人や家族の病歴、心理的評価、染性・遺伝性疾患のスクリーニングなどの厳しい審査に合格したエリートのみが登録することができ、全体の5%ほどしか通過できないようです。
感染症の心配をせずに、精子の運動能力(=妊娠できる力)が高い精子を提供してもらえるのは、本当に素晴らしいシステムだと感じます。
メリット③:ドナーの詳細情報を知ることができる
精子バンクでは、ドナーを選択する上で必要な情報を得ることができます。
ドナー候補となる人物の、
・身長
・体重
・血液型
・目の色
・髪の色
・国籍
・宗教
・音声
・学歴
・家族の情報
・幼少時代の写真
など、これらの情報を比較しながらドナーを選択することが可能です。
どの情報も正確であるという安心感もありますよね。
「無償のボランティアで精子提供をしてもらった後に、学歴などをごまかされていた…」なんてトラブルも避けられます。
メリット④:子どもが望めば将来ドナーに会う権利が保証されている
ここは、非常に大切なポイントになります。
「将来は子どもが希望すれば、ドナーに合わせたい!」
「うちの場合は、ドナーとは一切接触しないつもり…」
など、それぞれの家族の考え方によって、ドナーを「匿名」か「オープン」か選択することができます。
ちなみにわたしがドナー選択した際には、ここを特に重要視しており、将来子どもが自分のルーツが知りたくなったときにドナーと会うことのできる「オープンドナー」を選択しました。
逆に、一切ドナーとの接触を行話ない場合でしたら「匿名」を選択する人が多いかと思います。
精子バンクによって異なりますが、「匿名」より「オープンドナー」の方が提供価格が高い場合があります。
精子バンクを利用するデメリット
続いては、精子バンクを利用するデメリットを紹介します。
①高額である(精子の値段・輸送費など)
②英語での情報収集が必要になる場合がある
③精子バンクについての日本語の情報が少ない
それでは詳しく解説します。
デメリット①:高額である(精子の値段・輸送費など)
デメリットの1つは「高額である」こと。
購入先の精子バンクは海外にあるので、海外から精子を輸入する形になります。
その場合かかってくる費用は「精子本体の価格」、「輸送費」、「関税」となります。
精子の値段は、運動率によって異なり運動率が高いほど値段も上がり、1アンプル8万円のものもあれば、20万円近くになる場合もあります。
実際の精子の値段は、精子バンクやドナーの精子の品質によってかなり幅があるので気になるドナーを見つけて値段を確認してみましょう。
輸送費、関税も「精子の量(アンプル数)」によって異なります。
必要な精子の量はそれぞれ違うと思うのですが、参考までに私たちの場合は1人のドナーから8アンプル購入しました。(その際にかかった費用は、精子代金約80万円+輸送費+関税5万円ほど)
精子の購入数の目安としては4アンプル程が好ましいようですが、私たちの場合はパートナーと同じ精子を使用する予定だったので、8つ購入することにしました。
このように、精子の値段プラスでかかってくる関税なども地味に高いのがネックです。
デメリット②:英語での情報収集が必要になる場合がある
海外精子バンクのサイトを確認してもらうとわかると思いますが、ほとんどが英語表記となっています。
しかし、私が利用した”Cryos International”は、昨年、日本に進出してきたこともあり、日本語でサイトを閲覧することが可能となりました。
しかし、他のサイトでは基本的に英語表記になるので、英語が苦手な方はGoogle翻訳で情報収集する必要があります。
わたしが精子購入した時期は、クリオスもサイトが日本語適用されていなかったため、Google翻訳で情報を集め、簡単な英語で会社とメールのやり取りを行っていました。
デメリット③:精子バンクについての日本語の情報が少ない
実際に、海外の精子バンクを利用して子どもを設けるカップルは多いのか少ないのかは分かりませんが圧倒的に情報不足であることは間違いないかと思います。
気軽にインターネットで「精子バンクで子どもを作った同性カップル」で検索してもなかなか情報が少なかったりしますよね。
実をいうと、第一子出産後に精子バンクに出産報告したら「あなたは日本人で初めて出産報告してくれた人です!」と言われました。
なので、もしかしたら同性カップルの間では海外精子バンクを利用する方法はまだあまりメジャーではないのかもしれませんね。
実際に、まだ自分が「子どもを持つ方法」を模索していた頃は精子バンク利用について欲しい情報が出てこなかったため、情報収集に苦労した経験があります。(なので、ブログを使って情報を公開することに決めたのですが)
一方で、英語で検索すると海外の精子バンクで子どもを作ったカップルの情報は山ほど出てきます。
おすすめの精子バンク【わたしが利用した精子バンクも紹介】
続いては、おすすめの海外精子バンクを紹介します。
わたしが利用した精子バンクを含めて、おすすめは以下のとおりです。
1.Cryos International
2.California Cryobank
3.European Sperm bank
それでは詳しく見ていきます。
1.Cryos International
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ドナー数で世界最大であり、30年以上の提供実績を持つ精子バンクの老舗「Cryos International」。
デンマークから、世界中のカップルやシングルの女性たちに精子を届けています。
2020年に日本に上陸し、現在Cryosでは日本語でサイトを閲覧することができます。
サイト内には、精子バンクに関する記事も多数掲載されており(これがまた勉強になります)、情報収集にも役に立ちます。
もちろん、質問・相談も日本語でやり取りできるのでとても安心です。
私たちもここの精子バンクを利用したのですが、相談などのメールのやり取りもスムーズで丁寧に対応してくれました。
ドナー登録数が多いので、自分たちのニーズに合った人を探し出せるのも大きな魅力だと思います。
自分が利用した精子バンクという理由だけでなく、「実績」、「丁寧な対応」、「日本語でのサービス有り」、「サイト内の豊富な情報」という点からも信頼できる精子バンクだと思います。
【まとめ】
・ドナー数で世界最大の精子バンク
・30年以上の実績を誇る
・アメリカの精子バンクと比較したら若干価格が安い(精子にもよる)
・日本語でサービスを受けられる
・サイト内で日本語の情報収集ができる
2.California Cryobank
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続いては、アメリカのカリフォルニアに拠点を置く「California Cryobank」。
こちらの精子バンクは、1977年以来全米50州、世界30か国以上に精子提供を行ってきた確かな実績があります。
ドナーの情報も詳しく掲載されており、自分たちにぴったりのドナーを見つけることができます。
有料ではありますが、ドナー選びに迷ったらカウンセラーに相談できる「ドナーマッチングサービス」も受けられるそうです。
わたしはこちらの精子バンクも登録済みで、「Cryos」か「California Cryobank」を利用するか、実のところ最後まで迷っていました。
しかし結果的に、価格が若干安かったCryosに決めました。(精子によって価格は異なります)
【まとめ】
・40年以上に及び全米50州、世界30か国以上に提供実績がある
・ドナーマッチングサービスが利用できる
・常勤の遺伝カウンセラーがおり、相談可能(しかし英語のみ)
・LGBTQ専用の掲示板にアクセスし、他のカップルと情報交換できる
3.European Sperm bank
[browser-shot url=”https://www.europeanspermbank.com/en-int” width=”800″ height=”300″ href=”https://www.europeanspermbank.com/en-int” alt=”European Spermbank” target=”_blank”]
世界60か国以上に精子提供を行い、現在までに3万人以上の子の誕生実績のあるデンマークの精子バンク「European Sperm bank」。
こちらの精子バンクでは、自身の顔写真などをサイトにアップロードすればドナーを無料でマッチングしてくれるサービスが付いています。
自分の容姿やパートナーの容姿に似たドナーを気軽に検索できるのは嬉しいサービスですよね。
さらに、自分とドナーの遺伝子スクリーニングを行い、遺伝子の病気を引き起こす組み合わせがあるかリスクチェックをしてくれるサービスがあります。(有料)
唾液の採取のみの簡単なチェックで、もしも遺伝子の組み合わせにリスクが確認されれば追加料金なしでドナーを変更することが可能です。
【まとめ】
・世界60か国以上に精子提供を行い、現在までに3万人以上の子の誕生した実績がある
・無料のドナーマッチングサービス
・唾液採取のみで遺伝子リスクを特定できる(600ユーロ)
また、今回紹介した精子バンク以外にも海外には沢山の精子バンクがあります。
なかなか個人では探しづらいのかなと思うので、以下に思いつく限り挙げてみました。
じっくりとそれぞれの会社を比較して、自分たちに合ったサービスが受けられる会社を見つけられるといいですね。
・The Sperm Bank of California
・Xytex
・Midwest Sperm Bank
・London Sperm Bank
・Seattle Sperm Bank
・NW Cryobank
・Sellmer Diers Sperm Bank
・FairFax Cryobank
・IVF Australia
精子バンクでドナーを選ぶときのポイント
子どもの遺伝的父親を決める大切な過程でもある「ドナー選択」。
ドナーを決めるには、一体どんな条件で決めればいいか迷ってしまう人も多いはず。
そんな方へ向けて、「精子バンクでドナーを選ぶときのポイント」について詳しく解説していきます。
①ドナーの外観
②血液型
③ドナーの匿名性(「匿名ドナー」または「オープンドナー」)
④本人や家族の病歴などのメディカル情報
⑤ドナーの詳細情報(声、学歴、趣味など)
詳しく解説していきます。
ポイント①:ドナーの外観
精子バンクでは、ドナーの情報を細かく確認することが可能です。
外観に関する情報も確認することができるので、「身長、体重、肌の色、目の色、髪の色」などは確認すべきポイントです。
また、ドナーの幼少期の写真も確認することが可能なので、イメージを掴むためにもチェックしてみてくださいね。(追加料金を払えば、現在の写真も確認できる場合もあり)
ちなみに、「絶対に日本人がいい!」と思っている場合でも、タイミングによっては日本人ドナーが0の場合もあります。
私も精子バンクを利用していた頃には、選択できる日本人ドナーはいませんでした。
ポイント②:血液型
「血液型」に関してなのですが、もしも母親がRhマイナスである場合に、妊娠した子どもがRhプラスだと「Rh式血液型不適合妊娠」になる可能性があります。
きちんとした医療ケアすればOKなのですが、もしも自身がRhマイナスの場合にはしっかり血液型を確認しつつ、ドナーを選択した方がいいかもしれません。
また、自分やパートナーの血液型と合わせたいなどのこだわりがあれば確認しておくポイントです。
ポイント③:ドナーの匿名性
精子バンクでドナーを選ぶ際には、「匿名ドナー」と、「オープンドナー」が選択できます。
・匿名で精子提供するドナー:匿名ドナー
・非匿名で精子提供を行うドナー:非匿名ドナー、オープンドナー
もしも、精子提供によって生まれた子どもが将来自分のルーツが知りたくなったとき、会ってくれるのは「オープンドナー(非匿名)」になるので、これは絶対にチェックしておきましょう。
ポイント④:本人や家族の病歴などのメディカル情報
精子バンクでドナーになる人は、きちんと感染症チェックやメディカルチェック、遺伝的疾患のない人が選ばれているのであまり心配する必要はないような気がしますが、気になる人は是非チェックしてみてください。
ドナーだけでなく、ドナーの家族や兄弟の健康情報まで確認することができます。
ポイント⑤:ドナーの詳細情報(声、学歴、趣味など)
こちらは、ドナーがどんな人物なのか深く知りたい人向けです。
とはいえ、気になるので多分皆さんチェックするかと思いますが(笑)
わたしも「どうせ選ぶなら、日本が好きな人だと嬉しいなぁ」と思いつつ確認していました。
また、将来子どもたちが自分のドナーについて、どんな人物なのか聞いてくるかもしれませんよね。
そんな時にお話してあげられるのも素敵かなぁ、なんて思います。
ドナー詳細情報の内容は、ドナーの趣味、好きな動物、楽しかった経験、憧れの国などすごくプライベートな質問に応えています。
これからは日本でもニーズが高まる予感?!
いかがだったでしょうか?
「海外精子バンクを利用して、同性同士で子どもを持つなんて海外ドラマだけの話でしょ?」
そんなことはありません。
実際に、私たちも精子バンクを利用して子どもを妊娠・出産しましたし、今後も私たちのような同性同士のカップルで子どもを持つ人は確実に増えてくることでしょう。
子どもを持つ方法に正解なんてありません。
それぞれのカップルがよく話し合い、自分たちにぴったりの方法で子どもを迎えることができればそれはとても幸せなことです。
もちろん、選択的シングルマザーのように自分で子どもを育てていく決意を持って子どもを迎える人も増えてくることが予想されていますよね。
どんな家族のカタチであろうと、強い信念と愛情を持って子どもを迎えられるならそれはとても素晴らしいことではないでしょうか。
子どもを望むすべての人たちを応援しています。
終わり!
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