この記事では、こんなお悩みに答えます。
誰にでも訪れる「老後」ですが、同性カップルが老後に直面する問題について考えたことはありますか?
現在、日本では同性婚も成立しておらず法律・制度的にも「性的マイノリティーは想定されていない」とされています。
そんな基本的人権法制がない国で、私たち性的マイノリティーが安心して暮らすにはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では、【同性カップルが安心して暮らすために、老後に備えておくべきこと】について、実際にLGBT当事者の私(@lovethelife365)が詳しく解説していきます。
この記事を読むことによって、大切な人を守るための準備について知ることができます。
まだまだ先のことかもしれませんが、元気なうちから備えておきましょう!
・同性カップルが直面する老後の問題とは?
・同性カップルが安心して暮らすために、老後に備えておくべきこと
同性カップルが直面する老後の問題とは?
そんなカップル向けに、ここでは【同性カップルが直面する老後の問題】について詳しく解説していきます。
今の日本では「同性婚」は認められていないものの、各自治体が導入する「パートナーシップ制度」によって、同性カップルが自治体のサービスを受けることができます。
「パートナーシップ制度」を利用することで、以前よりも暮らしやすくなった部分はありますが、それでも異性間の婚姻時に保障されている福利に及びません。
(参考:法律婚・事実婚(異性間)・同性カップルの比較)
そして、同性カップルが老後に直面する課題も多くあるのが現実です。
以下は、【同性カップルが老後に直面する可能性のある問題】です。
・パートナーが病気や怪我で入院したときの面会・病状説明・手術同意ができない
・どちらかが亡くなり遺産相続する際に、相続税が多くかかりやすい
・パートナーが認知症や介護が必要になった際に、病院や施設の手続きができない
・子がいるカップルで、親権を持っている側が亡くなった際に子どもが育てられなくなってしまう
・パートナーと同じお墓に入るのが難しい
「同性婚」ができないことによって、同性カップルはこのような不利益を被ります。
しかし、同性婚が日本で認められていないのはとても残念なことですが、現行の法制度でカバーできることもあります。
続いては、【同性カップルが老後に備えておくべきこと】について解説していきます。
同性カップルが安心して暮らすために、老後に備えておくべきこと
そんなカップル向けに、ここでは【同性カップルが老後に備えておくべきこと】を詳しく解説していきます。
先ほど、同性カップルが老後に直面する問題点をいくつか挙げました。
・パートナーが病気や怪我で入院したときの面会・病状説明・手術同意ができない
・どちらかが亡くなり遺産相続する際に、相続税が多くかかりやすい
・パートナーが認知症や介護が必要になった際に、病院や施設の手続きができない
・子がいるカップルで、親権を持っている側が亡くなった際に子どもが育てられなくなってしまう
・パートナーと同じお墓に入るのが難しい
上記の問題点をもとに、準備できることを紹介していきます。
パートナーが病気や怪我で入院したときの面会・病状説明・手術同意ができない
人間は誰しも歳をとります。
そして、年齢を重ねていけば病気や怪我のリスクも高くなっていくでしょう。
同性カップルの場合、どちらかが入院した際に、「家族」でないことを理由に、面会・病状説明・手術の同意ができないことがあります。
万が一の時に、お互いが「病院の面会」、「病状説明」、「手術同意」などができるようになっていれば安心ですよね。
法律上「家族」として認められない同性カップルが準備すべきことは以下の5つです。
・緊急連絡先カードに必要事項を記入し携帯しておく
・パートナーシップ証明書など、2人の関係を外部に伝えられるものを持っておく
・LGBTに理解のある病院を探しておく
・かかりつけ医に事前に状況を説明して理解しておいてもらう
・任意後見契約を結んでおく
上記の内容は、以下の記事で詳しく解説しています。
どちらかが亡くなり遺産相続する際に、相続税が多くかかりやすい
通常、婚姻関係にある夫婦ならどちらかが亡くなった場合に何もしなくても法定相続することができます。(遺産総額が1億6千万円までは相続税がかからない)
一方で、同性カップルは遺産相続することができません。
しかし、
・遺言を残す
・養子縁組する
・パートナーを生命保険の受取人に指定しておく
などの対策しておくことによって、財産移譲をすることは可能です。
それでも相続税の税額軽減は適用されないので不利益があるのは確かです。
もしも遺言書を作成するなら、相続税の試算など相談に乗ってくれる専門家に相談してみるのをオススメします。
同性カップルの遺産相続に関する詳しい記事はこちらを参考にして下さいね。
パートナーが認知症や介護が必要になった際に、病院や施設の手続きができない
もしも自分やパートナーが認知症や介護が必要になった場合、同性カップルだと病院や施設の手続きをすることができません。
しかし、事前に「任意後見契約」や「委任契約」を結んでおくことによって、
・任意後見契約→生活に関わる契約・手続きの代行・財産管理
・委任契約→病院へ入院する際の申し込み・身の回りの世話・介護・財産管理
などが可能になります。
これらの契約は、元気なうちから準備しておくといいかもしれませんね。
子がいるカップルで、親権を持っている側が亡くなった際に子どもが育てられなくなってしまう
最近、同性カップルで子どもを持つケースが増えてきています。
私自身も海外の精子バンクを利用して子どもを妊娠・出産し、子育てしている一人です。
今後もそのようなカラフル・ファミリーが増えてくることが予想されますが、ここでもやはり「同性婚」ができない事による深刻な問題があるのです。
それは、子どもの親権に関することです。
通常の夫婦の場合「共同親権」を持つことができますが、同性カップルの場合「実際に子を出産した一方」のみにしか親権がありません。
つまり、子を出産した方が亡くなってしまったら、今まで2人で育ててきた子どもを育てられなくなってしまう可能性があるのです。
この問題を解決するには、
・養子縁組
・遺言による未成年後見人の指定
をすることで対策できます。
私の場合、パートナーとそれぞれ子を1人づつ出産したのですが「養子縁組」を利用しています。
私たちのように「養子縁組」で対策する方法もありますが、「未成年後見人の指定」でも対策できるので気になる方は調べてみましょう。
参考:未成年後見人とは? 必要なケース、選任方法や注意点を解説
パートナーと同じお墓に入るのが難しい
婚姻関係を結んでいないパートナーであっても同じお墓に入ることは可能です。
しかし、日本では「お墓=家族・親族の象徴」とされているため、お墓に同性パートナーが納骨されることに抵抗のある親族がいるかもしれません。
また、家族にもカミングアウトしていない場合、独立してお墓を建てるという選択肢もあるでしょう。
最近では自由な埋葬・供養を推奨しているお寺があるので紹介します。
・全ての人に開かれた寺「證大寺」/東京都・江戸川区
・パートナープランあり「安養院 ひかりの園」/東京都・品川区
・LGBTの駆け込み寺「性善(しょうぜん)寺」/大阪府守口市
「同性婚」ができなくても、現行の法制度でカバーできる【元気なうちに備えよう】
いかがだったでしょうか?
ここまで読むと、「同性婚があればどんなに便利なのだろう…」と悔しくなってきてしまいますよね。
同性婚がまだ認められていないのは残念ですが、現行の法制度でもカバーできることはあります!
まずは、きちんと「法律」や「制度」を知るところから始めましょう。
それから、どんな準備が必要なのかパートナーとよく話し合って優先順位を決めることが大切ですね。
この先、同性カップルでも子どもを持つケースも増えてくるかと思います。
大切な人を守るため、元気なうちから備えましょう。
終わり!
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